放課後等デイサービスの利益構造とは?粗利・売上・出費の概算から見る経営のリアル

雑記

はじめに:「福祉だからこそ、経営を考える」

放課後等デイサービス(通称:放デイ)は、子どもの支援という社会的使命を果たすと同時に、持続可能な経営が求められる事業です。
「利益を出す=悪」と誤解されがちですが、良い支援を継続して届けるためには、健全な利益構造が不可欠です。

この記事では、放デイの経営における売上の構造、粗利、そして主要な出費について、概算ベースで分かりやすく解説します。


放デイの売上構造:9割以上が「給付金」

放課後等デイサービスの収入は、主に以下の3つに分かれます:

■ ① 障害児通所給付費(自治体からの給付:9割)

→ 利用児童1人あたりのサービス提供に応じて支払われる単価制

■ ② 利用者負担(保護者からの1割負担)

■ ③ 加算収入(送迎、個別支援、特定処遇改善など)


売上概算シミュレーション(月間)

※定員10名・平均利用単価9,000円/日・20営業日想定の場合

  • 【基本報酬】
     9,000円 × 10名 × 20日 = 1,800,000円
  • 【加算収入】
     (例)送迎、個別対応、加配など 1人あたり+2,000円/日 → +400,000円程度
  • 【総売上(概算)】
     2,200,000円〜2,500,000円/月

※あくまで一例。実際は自治体や加算取得状況により変動します。


主な出費項目と概算

■ ① 人件費(スタッフ給与+社会保険+賞与など)

  • 総売上の50〜60%前後
  • 例:職員5名(管理者、児発管、保育士、指導員)で月120〜150万円程度

■ ② 家賃・光熱費

  • 家賃10〜20万円前後(エリアによる)
  • 水道光熱費・通信費などで5〜10万円程度

■ ③ 車両・ガソリン代(送迎ありの場合)

  • 燃料費・保険料・車検・維持管理費など:月3〜5万円程度

■ ④ 備品・教材費・消耗品費

  • 教材購入・イベント・文具・衛生用品など:月2〜5万円

■ ⑤ 保険・会計顧問・外部委託費用

  • 損害保険、税理士、労務管理、ITサポートなど:月2〜5万円

粗利・利益の目安

【粗利(売上−直接人件費・必要経費)】

  • 売上250万円 − 出費(例:180万円)= 粗利 約70万円

【純利益(最終利益)】

  • 粗利から法人税、積立、返済などを引いて
    月20〜40万円程度が目安(適正経営時)

※あくまで目安。無理な加算・定員超過などの“過剰経営”は長期的にリスクです。


利益を残すために大切なこと

■ 加算の正しい取得と運用

→ むやみに加算を狙うのではなく、「できる支援=正しく取得」の姿勢が基本

■ スタッフ配置の最適化

→ 支援の質と人件費バランスを保つ「適正人数」と「多能工化」がカギ

■ 固定費の見直し

→ 空調・通信・備品など、日々の支出見直しも大きな経費削減に

■ 長期視点での運営(突発的な利益ではなく継続性重視)

→ 一時的な利益より、「5年、10年と続けられる支援体制」が経営の軸


まとめ:「支援の継続=経営の安定」

放課後等デイサービスは、支援と経営がどちらも大切な“両輪”です。
目の前の子どもたちに安心して関わるためにも、利益の見える化と健全な経営判断は不可欠です。

利益を出すことは「悪」ではなく、「良い支援を続けるための基盤」。
支援者も、経営者も、「子どもを支え続ける」ためにこそ、数字に強くなる必要があります。

タイトルとURLをコピーしました