はじめに:EDC(Every Day Carry)ってなに?
EDC(Every Day Carry)とは、直訳すると「毎日持ち歩くもの」。
支援の現場では、子どもがいつでも持ち歩ける小さな玩具やツールとして活用されており、不安や緊張、感情の高ぶりを和らげる効果があると注目されています。
とくに放課後等デイサービスでは、発達に特性のある子どもたちが自分の安心を保つ“お守り”のような役割としてEDCを使うケースが増えています。
放デイでのEDC活用がもたらす3つのメリット

1. ■ 感情の安定をサポート
- 指先を動かすことによって、イライラや不安を発散できる
- 不安なときに握ったり触ったりすることで、自分を落ち着ける「セルフコントロール」の手段に
2. ■ 切り替えや待ち時間の“橋渡し”になる
- 活動の切り替えが苦手な子にとって、EDCを触っている間に気持ちを整えることができる
- じっと待つのが苦手な子にも、“間をつなぐツール”として役立つ
3. ■ 自分で選ぶことで「安心のスイッチ」になる
- EDCは子ども自身が「これが落ち着く」と選んだもの。
- それを持っていることで、「安心できる」「気持ちを保てる」状態をつくる助けになります
放デイでよく使われるEDCの例
- スクイーズ系おもちゃ(もちもち、ぷにぷに素材)
- 回す・押す・カチカチする小型ギミック付き玩具(フィジェットキューブ等)
- ラバー製のマスコットやゴムボール
- ハンカチ・小さなぬいぐるみ・好きなキャラのキーホルダー
いずれも手の中で完結するサイズと操作感がポイントです。
支援に活かす!EDCを使った具体的な声かけと関わり方
- 「今ちょっと気持ちがぐちゃぐちゃかな?これ触って落ち着こうか」
- 「〇〇ちゃん、あのおもちゃ持ってると安心するもんね」
- 「今、ぐっと我慢できたね。触ってたおかげかな?」
EDCをただ持たせるだけでなく、“気持ちとつなげる”声かけをすることで、子どもは「自分の気持ちを調整する力がある」と実感しやすくなります。
注意点と工夫ポイント
- 他児とのトラブルにならないよう、「自分だけの道具」としての扱い方を伝える
- 音が出ない・目立ちすぎないなど、集団場面に適したEDCを選ぶ
- 使用頻度や場面を少しずつ調整し、「なくても安心できる」状態に導く支援も必要
EDCは「依存させる道具」ではなく、「自立へのステップ」にすることが大切です。
保護者との連携でEDCをもっと効果的に
- 家庭でもEDCを活用することで、共通の安心アイテムとしての効果が高まる
- 「〇〇のときに触ると落ち着いていた」と家庭の声を共有してもらう
- 放デイでの使い方や効果を伝えることで、ご家庭でも支援につながる視点を持ってもらえる
家庭×放デイで同じツールを使うことで、子どもにとっての“安心の一貫性”が生まれます。
まとめ:小さな道具が、子どもの大きな安心につながる

EDCは、たったひとつの小さなおもちゃであっても、子どもの心を支える大切なツールになり得ます。
子どもが「今、自分の力で気持ちを落ち着けられた」と思えること。
それは、自己コントロールや自己肯定感の芽を育てる貴重な体験です。
放課後等デイサービスの支援の中で、EDCをうまく取り入れながら、子どもの“安心できる環境”と“自立のステップ”を育てていくことを、ぜひ意識していきましょう。