はじめに:「処遇改善加算ってよく聞くけど…?」
福祉・介護業界でよく耳にする「処遇改善加算」。
放課後等デイサービスでも活用できるこの加算は、職員の処遇(=給与や労働環境)を改善するための財源補助制度です。
「名前は知っているけど、申請が難しそう…」
「そもそもどう使えばいいのか分からない…」という方のために、今回は処遇改善加算の基本から実務までを解説します。
処遇改善加算とは?概要と目的

処遇改善加算とは、国が福祉人材の待遇改善を目的に支給する「上乗せ報酬」です。
この加算は、介護・障害福祉サービス全体に適用されており、放デイなどの児童福祉分野でも取得可能です。
目的は主に以下の3点:
- 職員の定着と離職防止
- 給与アップや福利厚生の充実
- 働きがいのある職場環境づくりの支援
処遇改善加算の種類と違い
主に以下の3種類があります(※放デイでの対象を想定):
加算名 | 主な対象 | ポイント |
---|---|---|
処遇改善加算Ⅰ〜Ⅲ | すべての福祉職員 | 配分ルールあり・届出必須 |
特定処遇改善加算 | ベテラン職員等 | 勤続年数や役割で差を設ける運用が必要 |
ベースアップ等支援加算 | 全職員対象 | 賃金の“底上げ”に特化した加算(新設加算) |
それぞれ届け出や配分ルール、実績報告義務があります。
放課後等デイサービスが取れる処遇改善加算の要件
- 就業規則・賃金規程等の整備
- 処遇改善に関する計画書の作成・提出
- キャリアパス要件の満たし(例:研修制度や評価制度)
- 実績報告書の年度ごとの提出
- 賃金改善実施の証明(給与明細、配分資料の保管)
※自治体ごとに細かな違いがあります。管轄福祉課に事前相談が安心です。
加算を取得するメリットと現場への影響
- 職員への報酬アップが可能に(月5,000〜30,000円の上昇も)
- スタッフの定着率・モチベーション向上
- 人材採用時の訴求力UP(処遇改善加算ありと記載できる)
- 経営の安定化・助成金との連携が取りやすくなる
加算は「使うため」にある。しっかり活用してこそ、職場も人も育ちます。
加算取得後に必要な対応と注意点
- 定期的な記録保管(3年間保存)
- 実績報告と差額返還に注意(余った場合の返納もあり)
- “名ばかり加算”の禁止(職員に還元しないと違法)
- 支給実績と明細反映のズレが出ないよう配慮
しっかり配分・記録・説明を行うことで、監査でも“見える化”された運用が評価されます。
よくある失敗例とその対策
❌ 計画書を出し忘れて不算定に…
→ 提出期限をカレンダー共有・リマインド設定する
❌ 給与に反映していないと指摘を受けた…
→ 明細に「処遇改善加算分」と記載するか、別紙で説明
❌ “全員一律支給”でルールに違反…
→ 特定処遇改善加算では、職責や勤続による差別化が必要
よくある質問(Q&A)
Q. 正職員だけが対象ですか?
→ パートや非常勤も対象です(配分比率に注意)。
Q. 事務員も処遇改善加算の対象ですか?
→ 原則“直接支援職員”が対象。事務員は不可。
Q. 取得には難しい条件がありますか?
→ キャリアパス整備や就業規則等の基礎があれば、難しくありません。
まとめ

処遇改善加算は、職員を守り、育てるための大きな武器です。
- 要件さえ満たせば、安定的に取得可能
- 書類整備と実績管理が成功のカギ
- 「取り方」だけでなく「使い方」が職場の未来を左右する
支援の質を上げるには、“支える人の待遇”から見直しましょう。
CTA(行動喚起)
「処遇改善加算、まだ取っていない…」という方は、今からでも遅くありません。
まずは“計画書を整える”ところから、今すぐ動いてみましょう。