はじめに:音楽が療育になる理由とは?
音楽は、人の心を動かす不思議な力を持っています。言葉にできない気持ちを音で表現したり、リズムに乗って体を動かしたりすることで、自然と笑顔が生まれます。
近年、発達支援の現場で「音楽療法」に注目が集まっているのもそのためです。音楽は、言葉の代わりになり、心と体をつなぎ、子どもたちの「内なる力」を引き出してくれます。
音楽療法特化型・放課後等デイサービスとは?

音楽療法特化型の放課後等デイサービスは、音楽を専門的に活用して子どもの発達支援を行う施設です。音楽大学出身のスタッフや、音楽療法士、リトミック講師などの専門家が在籍しており、子どもたちの状態や特性に応じてプログラムが組まれています。
「ただの音楽教室」ではなく、「発達支援」としての音楽活用が特徴です。
音楽療法で得られる効果と3つの変化
感情表現・自己肯定感の向上
楽器を鳴らす、歌う、即興で音を出す——それらはすべて「表現」です。自分の感情を音で出せることで、「伝わった」という喜びが生まれ、自己肯定感が育ちます。
コミュニケーション力の育成
音楽を通じたやり取り(セッション)では、相手の音を聴く・応えるという形で、非言語的なコミュニケーションが自然と行われます。これが他者理解の第一歩になります。
感覚統合と集中力の促進
リズムに乗る、指先を使って音を出す、音の強弱を感じる——これらはすべて感覚統合の要素を含みます。楽しく取り組む中で、集中する力も育まれます。
主なプログラム内容と特徴
- リトミック(身体表現×音楽)
- 打楽器演奏(ジャンベ、カホンなど)
- ピアノ・キーボード遊び
- 歌唱活動(童謡・季節の歌・リクエスト曲)
- 即興セッション・グループ演奏
- 音楽×SST(ソーシャルスキルトレーニング)
音楽を軸にしつつも、目的は「発達支援」にあります。特性に合わせて個別対応もされるため、無理なく取り組めます。
一日の流れと活動の様子
15:00 来所・体調確認・自由遊び
15:30 ウォーミングアップ(音楽ストレッチ・リズム遊び)
15:45 メインプログラム(リトミック/楽器活動など)
16:30 グループ活動・発表・セッション
17:00 振り返り・帰りの歌・お迎え
明るく、楽しい空気感の中で、子どもたちが自然に自己表現を楽しむ様子が見られます。
どんな子に向いている?対象児童と向き合い方
- 言葉による表現が苦手なお子さん
- 感覚過敏や聴覚特性のある子ども
- 他者と関わるのが苦手な傾向がある子
- 落ち着きがない、姿勢が安定しない子
- 自信を持てず、自己否定が強い傾向がある子
音楽は「評価されない表現手段」です。だからこそ、自由に“その子らしさ”を出せる貴重な手段になります。
保護者の声:音楽が「きっかけ」になった体験談
「ピアノに向かうと集中できるようになり、自分から“もっと弾きたい”と話すようになりました」
「言葉が出にくかった子が、歌をきっかけに言葉の発音がスムーズになったのは驚きでした」
「楽器を通して“ありがとう”と伝える方法を覚えてくれました」
音楽が、言葉や行動の“前段階”になる。そんな奇跡のような瞬間が、日々、積み重なっています。
よくある質問(Q&A)
Q. 音楽が苦手な子でも大丈夫?
→ 大丈夫です。「上手さ」は求められません。自由に楽しむことが目的です。
Q. 親の付き添いは必要?
→ 通常は不要です。必要に応じて相談の上対応します。
Q. 普通の音楽教室と何が違うの?
→ 目的が「発達支援」であること。音楽を“手段”として活用しています。
見学・体験のすすめ:感じる力が伸びる場所へ
「うちの子に音楽が合うかも」
その直感を、ぜひ確かめてください。
見学や体験利用では、音楽活動の様子だけでなく、子どもたちの表情、関わり方、スタッフの声かけなど、写真では伝わらない空気感を感じ取ることができます。
まずは、子どもの「感じる力」を育む一歩として、音楽療育の世界に触れてみませんか?
まとめ

音楽療法特化型の放課後等デイサービスは、「音」と「心」をつなぎ、子どもの可能性を広げる新しい支援のかたちです。
発達に課題がある子どもたちが、“その子らしさ”を表現できる場所。
それが、音楽というツールを使った放デイの真価です。