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「なぜ、つばを吐くのか」―障害児がつば吐きを覚える本当の理由を深掘りする―

支援

はじめに:「つば吐き」はなぜこんなに困る行動なのか

放課後等デイサービスの現場で、
職員が特に対応に悩む行動の一つが つば吐き です。

・不衛生
・他児や職員が嫌な思いをする
・保護者からの指摘につながりやすい

そのため、
「やめさせなければならない行動」
「癖になる前に止めたい行動」
として扱われがちです。

しかし実際には、
つば吐きは 偶然覚えた行為ではありません。
そこには、発達特性と環境が強く関係しています。

以前「つば吐き」に関する記事を上げさせていただきましたが反響がよく、今回は少し「つば吐き」に関する内容を深掘りしたいと思います。前回の記事は上記から飛べます。


1. 障害児が「つば吐き」を覚える最初のきっかけ

1-1. 口・唇・舌への強い感覚刺激

発達障害のある子どもには、

・口の中の感覚に敏感
・逆に刺激を強く求める
・舌や唇を使った動きが好き

といった 口腔感覚の特性 が見られることがあります。

つばを吐く行為は、

・唇をすぼめる
・息を調整する
・唾液の動きを感じる

という、非常に強い感覚入力を伴います。
そのため 「気持ちいい」「面白い」 と感じ、
繰り返すようになるケースがあります。


1-2. 偶然の成功体験

多くの場合、最初は意図的ではありません。

・飲み物を飲んだあと
・口に物が残っていたとき
・ふざけて息を吐いたとき

その結果、つばが飛び、
周囲が反応した瞬間に 学習 が起こります。


2. なぜ「覚えてしまう」と繰り返すのか

2-1. 周囲の反応が強すぎる

つば吐きは、

・大人が止めに入る
・大きな声が出る
・表情が一気に変わる

という 反応のインパクトが非常に大きい行動 です。

発達障害のある子どもにとって、
良い反応・悪い反応の区別は曖昧なことがあります。

「とにかく反応が返ってきた」
それだけで、行動は強化されます。


2-2. 言葉の代わりのコミュニケーション

つば吐きは、
言葉の代わりに使われる行動 でもあります。

・嫌だ
・やめてほしい
・注目してほしい
・不安
・退屈

こうした気持ちを
うまく言語化できないとき、
つば吐きが 最も簡単に伝わる手段 になることがあります。


3. つば吐きが増える場面には共通点がある

現場を振り返ると、
つば吐きが起きやすい場面には特徴があります。

・活動の切り替え時
・注目されなくなった瞬間
・不安が高まったとき
・叱られた直後
・要求が通らなかったとき

つまりこれは、
感情が揺れた瞬間に出やすい行動 です。


4. 「わざと汚している」わけではない

大人側が陥りやすい誤解があります。

・わざとやっている
・分かっていて困らせている
・悪意がある

しかし多くの場合、
子ども本人は 結果(汚れる・嫌がられる)を想像できていません。

「今、この瞬間の感覚」
「今、この瞬間の反応」
だけを見て行動しています。


5. 強く叱るほどエスカレートする理由

つば吐きに対して、

・大声で注意
・厳しい叱責
・長時間の説教

を行うと、
一時的に止まっても 別の形で再燃 することがあります。

理由は明確です。

・不安が高まる
・注目を得られた経験が残る
・代替手段がない

結果として、

・頻度が増える
・別の問題行動に変わる

という流れになりやすいのです。


6. 放課後等デイサービスでの支援の考え方

6-1. まず「理由を探る」

重要なのは、
「やめさせる」前に
なぜ今出ているのかを整理すること です。

・時間帯
・活動内容
・関わっている人
・直前の出来事

これを振り返るだけで、
行動の意味が見えてくることがあります。


6-2. 代わりの手段を用意する

つば吐きが、

・注目要求
・拒否表現
・感覚刺激

であるなら、
同じ目的を満たす別の方法 を用意する必要があります。

・カードで意思表示
・決まった合図
・口を使わない感覚遊び

行動は「禁止」ではなく
「置き換え」で減っていきます。


7. 職員の関わり方が行動を左右する

職員が、

・過度に反応しない
・淡々と対応する
・成功体験を別の行動で積ませる

この積み重ねが、
つば吐きの 学習価値を下げる ことにつながります。


まとめ:つば吐きは「困らせ行動」ではない

つば吐きは、

・発達特性
・感覚の特性
・コミュニケーションの未熟さ
・環境からの影響

これらが重なって現れる
意味のある行動 です。

放課後等デイサービスだからこそ、

・行動の裏を見る
・叱る前に理解する
・子どものSOSに気づく

その視点が、
結果的に行動を減らし、
子どもの安心につながります。


【参考】

厚生労働省:「発達障害の特性理解」強度行動障害対応PDF

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