はじめに:「遊んでばかり」に見える時間の価値
放課後等デイサービスでの活動の中で、ブロック遊び、ままごと、鬼ごっこなど「遊び」の時間は多くあります。
一見ただ楽しく過ごしているだけのように見えるこの時間、実は子どもたちの成長に欠かせない“学びの土台”を育てています。
「遊ぶ=学ぶ」
この視点を持つことで、支援の目的や関わり方がより明確になります。
遊びが育てる「生きる力」

子どもたちは遊びを通じて、たくさんのことを自然に学んでいます。
■ コミュニケーション力
→ 友達とのやりとり、ルールの交渉、順番を守る経験などで「関わりの力」が育ちます。
■ 想像力・創造力
→ ブロック遊びやごっこ遊びの中で、自由な発想力や構成力が磨かれます。
■ 感情のコントロール
→ 勝ち負けの感情、順番待ちのイライラ、うまくいかない悔しさなどの中で、「気持ちの整理」の練習ができます。
■ 自己肯定感
→ 「できた!」「楽しかった!」という成功体験が、自信や前向きさにつながります。
放デイでの「遊び」を“学び”に変える支援の工夫
1. ■ 遊びに“目的”を持たせる
- 単なる時間つぶしではなく、「この遊びで○○を育てたい」と支援者が意図をもって提供する
例:
→ パズル=集中力、手先の巧緻性
→ ままごと=社会性、言葉のやりとり
→ 鬼ごっこ=ルール理解、体のコントロール
2. ■ 子どもの興味を尊重する
- 興味がある遊びほど、集中力や自主性が高まる
- 「やりたい」を尊重することで、学びが深まる土台になります
3. ■ 成功体験を言葉にして返す
- 「工夫してできたね」「最後まであきらめなかったのがすごい」など、プロセスへの声かけが、学びを定着させます
4. ■ 終了や切り替えも“学び”の機会に
- 「あと5分で終わろうね」など、見通しを伝えることで、時間の感覚や切り替えの練習にもつながります
遊びを通じた「非認知能力」の発達
近年注目されている“非認知能力”とは、テストでは測れない「生きる力」です。
- 思いやり、がまん強さ、協調性
- 物事に取り組む姿勢、自分で考える力
- 感情の調整、自信、柔軟性
これらは、遊びの中でこそ自然に育ちやすいといわれています。
だからこそ、放デイのような支援現場では、“遊び”を軽んじるのではなく、育ちの中心に据えることが大切なのです。
保護者にこそ伝えたい「遊びの学び」
ときには、保護者から「遊んでばかりじゃ意味がないのでは?」という声が上がることもあります。
そんなとき、支援者が伝えたいのは以下のポイントです:
- 遊びの中で、子どもは社会性・言葉・感情・集中力など多くの力を育てています
- 「勉強」だけが学びではなく、「人と関わる力」「自分を表現する力」も同じくらい大切です
- 遊びを通して成功体験を積むことが、学習への土台にもなります
家庭での遊びにもヒントを渡せると、放デイと家庭の支援が連携しやすくなります。
まとめ:「遊び」は最強の学びの場

放課後等デイサービスでの「遊び」は、子どもたちの未来につながる大切な“学びの時間”です。
遊びを通じて、子どもは自分で考え、感じ、関わり、試行錯誤しながら成長していきます。
支援者は「ただ遊ばせる」のではなく、“遊びの中にある学び”を見つけ、引き出す存在であることが求められます。
今日、笑顔で遊んでいたあの子にも、確かな成長の芽が育っているはずです。
そのひとつひとつに気づき、喜び合える支援を、これからも大切にしていきましょう。