はじめに:「働く」以前に、“生活する力”でつまずく若者たち
放課後等デイサービスを卒業したあと、多くの保護者が直面する悩みがあります。
それは、
「この子は社会でやっていけるのだろうか」
という不安です。
勉強だけではなく、
・朝起きられない
・人間関係で疲弊する
・予定管理が苦手
・不安が強い
・失敗経験が積み重なっている
など、“生活そのもの”に困難を抱える若者は少なくありません。
特に発達障害やグレーゾーン傾向のある若者では、
「就職」以前に、
・生活リズム
・自己理解
・感情調整
・コミュニケーション
といった土台づくりが必要になるケースがあります。
そこで近年注目されているのが、
自立訓練(生活訓練) という福祉サービスです。
その中でも、発達障害や生きづらさを抱える若者支援として話題になっているのが、
エンラボカレッジ です。
1. エンラボカレッジとは?
就労移行支援の前段階として利用できる自立訓練(生活訓練)サービスとなっており
全国11か所で事業展開をしている18歳以降の進路選択肢の一つです。

1. 就職ではなく「自立」が目的
一般的な就労移行支援事業所が「就職」をゴールとするのに対し、エンラボカレッジは「生活を整える」「自己理解を深める」「人との関わり方を学ぶ」ことを重視しています。
例えば、
- 人間関係がうまくいかない
- 感情コントロールが苦手
- 自分の特性がわからない
- 仕事が長続きしない
- 将来の見通しを立てるのが苦手
といった悩みに取り組みます。
2. 300以上のプログラム
エンラボカレッジでは300以上のワークやプログラムを用意し、座学と実践を繰り返しながら学びます。
代表的なプログラムは、
- 感情学(感情理解)
- コミュニケーション
- Life Lab(将来設計)
- My Lab(自己理解)
- 身体・感覚ワーク
- Social Lab(社会参加)
- スキルアップ(就労準備)
などです。
3. 「自分/支え方マニュアル」を作成
エンラボカレッジの大きな特徴として、自分の得意・苦手や必要な配慮を整理した「自分/支え方マニュアル」を作成します。
このマニュアルは、
- 就職活動
- 職場への合理的配慮の説明
- 学校復学
- 家族との共有
などに活用できます。
4. 卒業後の進路
卒業後は人によって異なりますが、
- 就労移行支援事業所
- 一般就職
- 復職
- 大学・専門学校への進学や復学
- 就労継続支援A型・B型
などへ進むケースがあります。
利用料はいくらなの?
エンラボカレッジの利用料金は、障害福祉サービスの「自立訓練(生活訓練)」として提供されているため、国と自治体が費用の大部分を負担します。利用者の自己負担は原則1割ですが、所得に応じて月額上限が決まっています。
| 世帯所得区分 | 月額自己負担上限 |
|---|---|
| 生活保護世帯 | 0円 |
| 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 上記以外 | 37,200円 |
どんな人に向いている?
特に以下のような方に向いています。
✅ 放課後等デイサービス卒業後の進路に悩んでいる若者
✅ 就労移行支援に行く前に生活基盤を整えたい人
✅ 発達障害や精神障害の自己理解を深めたい人
✅ コミュニケーションに苦手意識がある人
✅ 就職しても長続きしない経験がある人
✅ 「まずは自信をつけたい」という人
就職スキルよりも、「自分を知る」「人との付き合い方を学ぶ」ことに重点を置いているため、放課後等デイサービスや児童発達支援の支援者・保護者からも注目されているサービスです。
2. 自立訓練(生活訓練)とは何か
自立訓練(生活訓練)は、障害福祉サービスの一つで、
日常生活や社会生活を送る力を身につけるための支援です。
例えば、
・生活リズムを整える
・コミュニケーション練習
・感情コントロール
・金銭管理
・対人関係
・自己理解
などを学びます。
つまり、
「働く技術」よりも前の、
“社会で生きる土台”を作る支援です。
3. なぜ発達障害の若者に必要とされているのか

3-1. 「頑張れ」が通用しない疲労
発達障害のある若者は、学生時代から、
・周囲に合わせ続ける
・失敗を繰り返す
・叱責経験が多い
など、強いストレスを抱えている場合があります。
その結果、
高校卒業後や大学中退後に、
・引きこもり
・不登校状態の継続
・自己否定感
・対人不安
へつながることがあります。
3-2. 「働けない」のではなく、“準備不足”
本人に能力がないわけではなく、
・生活が不安定
・自己理解不足
・疲労回復が苦手
・失敗経験が強い
ため、社会参加が難しくなっているケースもあります。
エンラボカレッジでは、
「できないことを責める」のではなく、
“安心して試行錯誤できる環境”を重視している点が特徴です。
4. エンラボカレッジの特徴
4-1. 「居場所」機能が強い
一般的な支援機関では、
「訓練」色が強くなることがあります。
しかしエンラボカレッジは、
・安心感
・自己表現
・対話
を重視していると言われています。
そのため、
「学校にも職場にも居場所がなかった」
という若者が通いやすいケースがあります。
4-2. 自己理解支援が中心
発達障害支援では、
「何が苦手か」
だけでなく、
「どうすれば楽になるか」
を知ることが重要です。
エンラボカレッジでは、
・自分の特性理解
・疲労サイン
・ストレス対処
などを整理しながら、
“自分の取扱説明書”を作るような支援が行われています。
4-3. 小さな成功体験を積み重ねる
発達障害の若者は、
失敗経験ばかり積み重なっていることがあります。
すると、
「どうせ無理」
「また失敗する」
という学習性無力感が強くなります。
そのため、
・通所できた
・会話できた
・相談できた
といった小さな成功を積み重ねる支援は非常に重要です。
5. 実際の口コミで多い声
利用者や家族の感想では、
良い口コミ
・「否定されない安心感があった」
・「やっと居場所ができた」
・「無理に就職を急かされなかった」
・「自己理解が進んだ」
・「生活リズムが整った」
などの声が見られます。
特に、
“評価され続ける環境”に疲弊していた若者にとって、
安心感のある関わりが評価されている傾向があります。
一方で合わないケースもある
ただし、
・すぐ就職したい人
・訓練色を求める人
・明確なスキル習得を優先したい人
には、物足りなく感じる場合もあります。
つまり、
「今どの段階にいるか」
によって、合う・合わないが分かれる支援とも言えます。
6. 放課後等デイサービス卒業後の“空白”を埋める存在
発達障害支援では、
18歳以降に急激に支援が減る問題があります。
放課後等デイサービスまでは支援があっても、
卒業後、
・孤立
・引きこもり
・進路迷子
になるケースも少なくありません。
その中でエンラボカレッジのような場所は、
「社会に出る前の準備期間」
として重要な役割を持っています。
7. 「できるようになる」より先に必要なこと
発達障害支援では、
つい、
・働けるように
・自立できるように
・社会適応できるように
を急ぎがちです。
しかし実際には、
安心感がない状態では、
人は成長しにくいものです。
エンラボカレッジのような支援が注目される背景には、
「まず安心できること」
の重要性が、少しずつ理解され始めていることがあります。
8. 「治す支援」ではなく「生きやすくする支援」
発達障害支援は、
“普通にする”ことだけが目的ではありません。
本当に大切なのは、
・自分を理解する
・無理しすぎない
・助けを求められる
・安心して社会参加できる
ことです。
エンラボカレッジは、
そうした“生きやすさ”を重視する支援として、多くの若者に選ばれています。
まとめ:「社会に出る前に、安心して失敗できる場所を」
発達障害やグレーゾーンの若者にとって、
「すぐ就職」
「すぐ自立」
が負担になるケースは少なくありません。
本当に必要なのは、
・生活を整える
・自分を知る
・安心できる
・失敗しても大丈夫と思える
経験です。
エンラボカレッジのような自立訓練(生活訓練)は、
“社会に適応させる場所”というより、
「安心して社会へ向かう準備をする場所」
として、大きな意味を持っています。
放課後等デイサービス卒業後の進路に悩む家庭にとっても、
こうした選択肢を知っておくことは、とても重要なのではないでしょうか。
【参考】
参考:厚生労働省「自立訓練(生活訓練)の概要」


